わが国は高齢化が進み、入院患者・施設入所者の高齢化率も非常に高くなっています。それに伴い入院・入所者の転倒・転落防止は医療機関や介護施設、とりわけ看護部門にとって永遠のテーマであります。転倒・転落は外傷や骨折につながり、また、重篤な例では脳出血、大腿骨や頚部骨折など患者のQOL(Quality of Life)に大きな影響を及ぼします。
しかし、医療機関の取り組みにもかかわらず、転倒・転落インシデント事例は増加傾向にあるのが現状なのです。「ベッドから落ちた」「歩行中に転んだ」等のインシデントは「移動」しようとして起きる事例が多く、例えば移動の目的ではトイレ関連が圧倒的。「トイレに行こうとした」、あるいは「トイレから戻る途中」というように、トイレ関連による事故は全体の3割を占めています。高齢患者が多いだけに「転んだことが認識できない」人もいらっしゃいます。
入院患者にとってベッド回りは療養の場であるとともに「生活の場」でもあります。看護師(スタッフ)にとっても目が離せない状況ではありますが、マンパワーの問題もあり、かかりきりというわけにはいかないのが現状で、管理工学に基づく作業(システム)の見直しと改善が急務だと考えられます。
そこで、当協会・学院では、医療・介護従事者と入院・入所者がお互い協力して取り組む「グループメディスン」を提唱し、医療施設(病院)・介護施設におけるシステムの改善(医療安全管理)コンサルタント・教育研修分析研究を実施。日本の医療の将来を見据え、患者様が安心して医療・介護サービスを受けられるように、そして、医療・介護従事者の皆様が生き生きと働き続けることができるよう、全力で取り組みます。
- 代表理事
- 結城 香